新たな一歩を

あの日から、10年の月日が経ちました。

あの日インターネットで、映像を見た時、実際に起きていることとは信じがたく、何度も「本当のこと?」と、確かめたことを今でも思い出します。

それからの毎日のニュースは、辛いものばかりでした。

何かできることはないかと、子育て中の方々と集めた物資が、きらきらの教室いっぱいになった頃、被災した方々が新潟周りで避難されてこられ、「野坂少年自然の家」に滞在することとなりました。

街づくりのNPO法人THAPさんと、連絡を取り合い、そこに、使えるものを持って行ったのが私たちの活動の始まりでした。

被災されてすぐの方々のお話はとてもリアルで、全身が震えたのを今でも思い出します。その後、二つの法人で、市民活動をしている方たちに連絡を取り、「何かしたいと思っている人」が集まったのが、3月25日。

何をするのかをみんなで考えたのが「とんとんキッズプロジェクト」のその設立の日でした。

皆さんの熱い思いのもと、相談・基金・物資とそれぞれに分かれ、それぞれができることを提案し、敦賀に避難して来られた方の支援をすることができました。行政の協力も素晴らしく、来られた方の情報を共有し、一緒にバディを組み、それぞれの住まいを訪問し、困っていることはないか相談を受け、それに応じることができました。

交流会では、たくさんの方の協力をいただき、物資を分けたり、音楽を聴いていただいたり、地産のものを食べていただいたり、癒しのイベントができました。

保養キャンプは「こんなに遠くに、それも同じ原子力発電の立地地区に、来てくれるのか」と不安でしたが、迎えに行った先では、子ども達の笑顔に会えました。たくさんの敦賀市民のご寄付で、福島の子ども達に楽しいひと時を提供することができました。誰もが一生懸命で、人と人とがつながる力の偉大さを感じました。あの1年間を思い出すと、今でも、たくさんの人の大きなエネルギーを感じます。

その後は、そうしてつながった方のもとへ現地訪問し、その復興の様子を見守らせていただきました。そのたびに「見守る」「思いを寄せる」大切さを感じました。「忘れてはいけない」と思いました。そのためにも、募金は大切な活動と認識しました。

私たちが「福島の被災孤児や、子ども達に」と、募金に立つと、ほとんどの方が心を寄せ募金をしてくださいます。他の募金とはまた違う、「いつも何もできないけれど…気持ちを寄せています…」とそんな気持ちを感じます。私たちは、「まだまだ、福島復興途中です…。」そんな状況を伝えていかなくてはならないという気持ちになります。

福島のお友達の言葉「忘れたいけど、忘れたくない。忘れてほしくないけど、思い出したくない」心に響きました。

今日は、新たな始まりの一年です。震災によって、つながったご縁を大切に、これからも、被災地の皆さんに心を寄せていきたいと思います。

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